正見　正思（せいけん　せいし）

先日
職場からの帰宅途中
こんな光景に
遭遇しました。
線路を
はさんだ向こう側道路で
女性の方が
「泥棒！返してよ。
泥棒！返してよ」と
騒いでいる声が聞こえました。

私は
また学生達が
ふざけて騒いでいるのかと
思い何も気にとめませんでした。
しかし
次の瞬間であった。
女性が声を荒げ
自転車に乗っている人を
追いかけていました。

自転車に乗った者は
必死にペダルを漕ぎ
その女性から
離れようとしていました。

自転車を使った
ひったくりの現場に
遭遇したのでした。

私は
「本当みたいですね」
と前を歩いていた人に話しかけました。
その人も
呆気にとられ
「本当みたいですね・・・。こんなことも本当にあるんですね。」
との応答であった。
私と同様に呆気にとられ
一瞬どうなっているのか判断が
付かなかった状態でした。
その後
我に返り
追いかけようと廻りを見渡したところ、
反対方面に出るには約１００ｍ程戻り
横断橋を渡らなければなりませんでした。
そんなこんだしている間に
自転車に乗った者の姿は
もう視界から消えていました。
私は
最初の一言で
その状況判断が出来ていれば
姿を見失うことなく
向こう側にたどり着くことが出来た
と思ってのですが
事遅しでした。

帰りの電車の中で
その状況を
思い浮かべていたところ
「オオカミと少年」の
話しを思いだしました。
自分の状況把握のまずさは
言うまでもないですが、
最近普段の若者達の
会話に頻繁に
「泥棒」とか「かっぱらい」等々の
言葉を使って冗談を
言い合っている
光景にあうことが多くあります。
特にテレビ等の番組で
フィクションなのか
ノンフィクションなのか
一瞬判断の付かないものさえあり、
知らず知らす
私の感覚が
麻痺状態になっているようです。

本当のことを言っても
まるで「オオカミと少年」の
物語のように
信じてもらえない感覚が
私達自身に芽生えていることは
怖いことですね。

あなたも
日常生活での感覚を純粋に
受け止める感覚を
忘れないでください。

まさしく
仏教でいう八正道でいう
正見（正しい見解）
正思（正しい思惟）
をしっかりと把握すること
の大切さを身に沁みました。

合掌　快栄